NHKドラマスペシャル聖徳太子(2001年放送)
戦国・幕末を描いた歴史ドラマが多い中
数少ない飛鳥~奈良時代の歴史ドラマですが
おすすめの1つがこれです。
見どころ
日本の国創りが始まった飛鳥時代…
隋が大陸を統一し巨大国家が誕生
大陸(隋)の圧力が増す中
豪族の権力争いが絶えずまとまり切らない日本で
誰よりも国の行く末を見通し
仏教の倫理観を柱として
国家(組織)の礎を創った
誰もが知る謎の多い偉人・聖徳太子を
若き本木雅弘さんが好演しています。
キャストも豪華大物俳優が占めます。
・厩戸皇子(聖徳太子):本木雅弘
日本の国つくりの礎を築く
幼いころから深く仏教・儒教・道教を学ぶ。
推古帝で摂政となり
仏教の教えを柱とした天皇中心の国家創り
を志すが…
・蘇我馬子:緒方 拳
新興勢力の有力豪族。
大陸文化と仏教の推進により
朝廷の中での覇権を狙う。
伝統派の守屋との争いに打ち勝ち覇権を握る。
・物部守屋:宝田 明
伝統派の有力豪族。
日本の伝統的な神事や軍事を担う古参豪族。
新興勢力の蘇我馬子に丁未の乱で敗れ戦死する。
・額田部皇女(推古天皇):松坂慶子
崇峻天皇の跡を継ぐ。
馬子の野望を知りつつ牽制のため厩戸に
摂政を任せ、馬子・厩戸と共に
新しい国創りを行う。
・刀自古郎女:中谷美紀
馬子の娘/厩戸の妻>>山背大兄王の母
・穴穂部皇子:柄本 明
守屋の支持を受けるが、馬子の軍によって暗殺される。
・小野妹子:今田耕司
第2回/第3回遣隋使として唐へ渡り隋の皇帝煬帝に
聖徳太子からの国書を手渡す。
・大兄皇子(用明天皇):近藤正臣
厩戸の父/異母兄・敏達天皇崩御の後
馬子に推され即位するが病により2年で亡くなる
・泊瀬部皇子(崇峻天皇):加藤雅也
穴穂部皇子の弟/敏達天皇・用明天皇の異母弟
用明天皇崩御の後、馬子に担がれて大君に即位するが
やがて馬子から疎まれ、暗殺される。
用明天皇の時代
天皇を挟んで権力を争う有力豪族
古参・保守派で神事・軍事を司る物部守屋と
新興で仏教と大陸文化を積極的に取り入れ
朝廷での覇権を狙う蘇我馬子
蘇我氏と強い血縁関係にあたり幼いころから
仏教・儒教・道鏡などの大陸文化に接し
その知識を吸収して行く厩戸皇子
用明天皇が疫病で崩御すると
次の皇位継承と権力の座を巡り
廃仏派の物部氏と仏教推進派の蘇我氏の対立が
決定的なものになります。
血縁関係であり仏教推進を志す厩戸皇子は
蘇我軍に付き共に物部氏を滅ぼしますが
仏教の教えとは程遠い過酷な現実を
目の当たりにします。
物部氏を滅ぼすと蘇我馬子は
泊瀬部皇子(崇峻天皇)を即位させますが
傀儡(操り人形)の天皇の座に不満を募らせる
崇峻が馬子を疎ましく思っていることを知ると
今度は崇峻天皇を暗殺してしまいます。
そして次の(傀儡)天皇として
皇太后(敏達天皇妃)・額田部皇女を
推古天皇として即位させますが
馬子の野望を知る推古天皇は即位の条件として
厩戸皇子を摂政とし
共に政治を司どる旨を伝えます。
20歳で摂政となった厩戸皇子は
仏教の教えを柱とした国創りを始めるため
高句麗の僧・恵慈を師として仏教・大陸文化
大陸国家の仕組みなどを学び
27歳の時に第一回の遣隋使を派遣し
30歳で実力主義の冠位十二階を制定
31歳で官人の心得を記す十七条憲法を制定
と次々に大改革を打ち立てて行きます。
しかし純粋に仏教の教えを基に
倭国の新しい国創りを目指す厩戸皇子と
仏教と大陸文化を取り入れる事で
朝廷内での権力維持を意図する大叔父・蘇我馬子
との間に亀裂が生じ始めます…
この後厩戸皇子は斑鳩に居を移し
中央の政治(蘇我馬子)とは距離を置き
第二回遣唐使・第三回遣唐使派遣などの
外交政策を主に担うようになり
純粋に仏教を学び
人々に伝える事に尽力して行きます…
仏教を通じ理想の国創りを目指し大改革を行うも
馬子や旧来の豪族達の合意を得られず
現実とのギャップに悩み苦しむ厩戸皇子を
本木雅弘さんが見事に演じます…。
ドラマの衣装は
飛鳥時代の研究者・猪熊兼勝氏が担当
奈良・中宮寺にある天寿国繍帳を参考に
構想を練ったそうです。
最初は埴輪風だった衣装が徐々に大陸風
に変化するところも見どころの1つです。