東大寺(金光明四天王護国之寺)
創建:728年 金鍾山寺
本尊:廬舎那大仏
開基:聖武天皇
開山:良弁
宗派:華厳宗 大本山
起源
710年
奈良に新しい都、平城京が開かれましたが
聖武天皇の時代(724年~749年)は
かんばつ・凶作・飢餓・大地震・疫病の流行
など天災・災難が続き人々を苦しめていました。
また、727年 中々世継ぎが出来なかった
聖武天皇と光明子は男の子を授かりますが
1年を待たずに亡くしてしまいます。
728年 やっと授かった幼い
(基もとい)皇子の菩提の為に
若草山に建てた金鐘寺(こんしゅじ)に
良弁ほか9名の僧を住持させたのが
東大寺の起源とされています。
歴史
この幼い皇子の死をきっかけに始まる
藤原氏による政権維持のための策略
長屋王の変(727年)や
735年九州から始まる天然痘の大流行と
これにより多くの農民が亡くなり農作物の
収穫量激減と農地放棄による凶作・飢餓
天然痘のパンデミック拡大による
国政中心であった藤原4兄弟の病死(737年)
そして738年天然痘の拡大が収まった後
藤原4兄弟に変わり政治をリードしていた
右大臣橘諸兄(たちばなもろえ)や
唐から異文化と政治を学んで帰って来た
玄昉(げんぼう)と吉備真備(きびのまきび)
らの政策に対する不満から発覚したクーデター
藤原宏嗣の乱(740年)など。
聖武天皇は皇位継承後に起こる様々な
天災・疫病・政治的な争いに心を痛め
世の中の混乱は自分の信仰が足りない為
だと考え仏教への信仰をより深くしていきます。
聖武天皇と光明皇后は河内国知識寺に詣で
そこで「華厳経」の教えを基に
信者達により造立され信仰されている
美しい廬舎那仏像を見て深く感動を覚えました。
そして華厳経の教理を学び、民間の力を合わせ
廬舎那大仏を創ることで国家安泰を図りたい
という想いが大仏を創るきっかけに成った様です
大仏造立
740年 藤原宏嗣の乱の最中、聖武天皇は突然
東国-伊勢国・美濃国への行幸をはじめ
京都木津川に新しい都・恭仁京を創らせます。
そして翌741年 平城京にもどる事なく
全国に国分寺・国分尼寺建立の詔を発令し
近江に離京・紫香楽宮の建設も行わせます。
この時皇子菩提の為建てた金鐘寺(こんしゅじ)
を大和金光明四天王護国之寺(大和国総国分寺)
とし大安寺の審祥大徳を講師に良弁と当時の
優れた学僧を集め「華厳経」の研究をさせます。
743年 廬舎那大仏造立の詔を発令し
同時に「華厳経」の教理が示されました。
大仏造立は当初紫香楽の甲賀寺で行いましたが
この時聖武天皇は民衆から信頼の厚い行基に
協力を求めます。
744年 恭仁京から難波宮に皇都を移すと
745年 美濃国を中心に大地震が起きます。
(昼夜3日に渡ったとされる天平地震)
紫香楽での大仏造立も工事途中の山火事や
この大地震などにより失敗に終わり
このためもあってか翌年
745年 都を平城京に戻し
大仏造立も奈良の大和金光明寺で再開します。
747年 大仏鋳造が始まったころから
東大寺の寺号が使われるようになります。
752年 大仏開眼供養会
実はこの時はまだ仕上げの途中で
蓮華座の工事も始まったばかり。
金メッキも顔だけだった様です。
757年 大仏完成(金メッキが施されていた)
789年 講堂・東西七重塔・三面僧房他
東大寺の全体の建築物が完成します。
740年~745年の
聖武天皇の突然の行幸と5年間の遷都の意図は
明らかになっていませんが
① いろいろな不幸が重なった平城京を離れ
聖武天皇が思い描く新しい都創りと
大仏造立ににふさわしい土地を探していた。
② 都を数か所に分散させた
新しい都創りを構想していた。
③ 宏嗣の乱の平定を祈願するためもの。
④ 祖父大海人皇子が壬申の乱の際通った
経路に重ね、追体験をした。
などいくつかの説が推測されています。
観光
奈良のシンボルであり
市民に愛されている大仏さん。
毎年春・秋には修学旅行で全国から中高生が訪れ
近年では海外からの旅行者も多く訪れていますが
南大門・大仏殿・大仏さんの大きさは
何回訪れても圧巻です!
奈良公園に入るとシカが自由に歩き回ってます。
海外からのお客さんにはこの街中を
自由に市民と共生しているシカの存在が
かなり珍しい様ですね。
欧米ではシカは狩猟のターゲットですが
奈良では春日大社の神様の使いですからね。
奈良のシカは鹿せんべいを持っている観光客
を見ると礼儀正しくお辞儀をするのですが
外国人観光客の中にはこれを面白がって
餌をじらして何回もお辞儀をさせて喜んでる
者もいて見ていて不快感を感じます。
シカが怒って観光客にケガをさせる事故も
起きてる様ですので絶対にこのような真似は
しないでくださいね。
みどころ
奈良時代の壮大さほどでは無いにしろ
未だ圧倒される大きさの
南大門・大仏殿・廬舎那大仏!
奈良時代からの仏像を安置している
東大寺ミュージアム
南大門
博物館を過ぎるといよいよ左へ参道に入ります。
最初に見えるのが鎌倉時代に復興された南大門
奈良時代の「天平文化」を代表する
運慶・快慶の金剛力士像を収めるこの建物は
その大きさと刻まれた歴史感に圧倒されます。
右側の口を閉じた像が「吽形 うんぎょう」
左側の口を開けた像が「阿形 あぎょう」
仏教の呪文(サンスクリット語)の
最初の音と最後の音を意味し
物事の始まりから終わりまで(1つの世界)
を表しているそうです。
よく言われる阿吽の呼吸とは、最初から最後まで
息(気持ち)がぴたりと合った様を言いますが
ここから来てるんすね。
東大寺ミュージアム
南大門を過ぎると左手に
東大寺ミュージアムがあります。
東大寺創建時から江戸時代にかけて
東大寺の歴史や東大寺にまつわる
国宝・重要文化財などが展示されていますが
必見は本来法華堂(三月堂)に安置されていた
日光・月光菩薩像
弁才天像・吉祥天像
地蔵菩薩像・不動明王像
の6体と三昧堂(四月堂)に安置されていた
旧本尊である 千手観音立像 です。
東大寺の起源とされる
金鍾寺(きんしょうじ/こんしゅじ)は
華厳経をはじめとする仏教の研究の場で
あったため多くの古書を有していますが
これらの古書・古文書類なども
管内・東大寺図書館で閲覧が可能です。
期間ごとに企画展・特別展があり
今までの企画展では
「国宝・東大寺金堂鎮壇具のすべて」
「奈良時代の東大寺」
などが行われています。
中門
大仏殿に入る為の門で1716年(江戸時代)の再建で
両側から大仏殿を取り囲むように回廊が続いています。
中門の右側には多聞天・左側には持国天が安置
されており国の重要文化財に指定されています。
但し大仏殿入堂の入口は向かって左側からに
なりますのでご注意を!
金堂(大仏殿)
南大門を抜け鏡池の横を過ぎ
中門を入ると巨大な金堂が見えて来ます。
何度訪れてもこの大きさには圧倒されますね
現在の大仏殿は1709年(江戸時代)に落慶
したもので世界最大級の木造建築ですが
創建当時は現在の建物の1.5倍ほどの横幅
があったそうです。
東大寺大仏殿は普段から観光客が多いのですが
この大仏殿に入る途端にほぼ全員が
携帯やスマホで写真を撮りまくります。
(フラッシュの嵐)
通常仏閣では仏様の写真は禁止なんですが
東大寺はあまりにも外国人観光客が多い為
歯止めが利かなくなったんでしょうか?
実は三脚を使用しなければOKと
公式ホームページにも記載されています。
大仏殿では年に2回(正月とお盆に)
大仏さんのお顔の正面扉が開帳され
大仏殿正面からお顔を拝むことが出来ますが
建物内の明かりで照らされたお顔を
大仏殿外から眺める様子は
何とも神秘的な雰囲気が漂っています。
大仏殿の中には大仏の他に
東側に虚空蔵菩薩像と広目天像が
西側に如意輪観音像と多聞天像があります。
何故か四天王像は広目天と多聞天の
2体のみ安置されていますが
こちらも大仏さんに同様に巨大で
中々の迫力です…。
大仏殿後方には創建当時の全体の様子を再現した
模型がありますが東西に七重塔を揃えた壮大な
寺院であったことが伺えます。
柱くぐり
東大寺の大仏殿の東奥の柱に大仏さんの鼻の孔
と同じ大きさの穴が開いています。
(30cmx37cm)
この穴をくぐり抜けると「無病息災」
「祈願成就」の御利益があるといわれています。
が… ごらんのとおり小さい穴ですので
大人はやめといてください!
*現在は感染予防の為くぐり抜け禁止です。
廬舎那大仏
奈良の大仏さんは廬舎那仏(るしゃなぶつ)
といわれ宇宙の真理を説き悟りに導く最高仏。
仏の慈悲の光がこの世のあらゆるものに平等に
注がれるということを表してます。
大仏さんの右手は施無畏印(せむいいん)といい
苦しむ人たちを暖かく迎える印
左手は与願印(よがんいん)といい
苦しみを無くして上げる印を示しています。
御朱印
大仏殿で頂ける御朱印は2種 ¥300
・華厳
・大仏殿
大仏殿の出口にあるお土産屋さんのところです。
拝観時間
大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂
4月~10月 7:30~17:30
11月~3月 8:00~17:00
東大寺ミュージアム
4月~10月 9:30~17:30
11月~3月 9:30~17:00
入堂・拝観料
大仏殿・法華堂・戒壇堂・東大寺ミュージアム
大人(中学生以上)¥600
小学生 ¥300
大仏殿+東大寺ミュージアム共通券
大人(中学生以上)¥1000
小学生 ¥400
住所・TEL
〒630-8211 奈良県奈良市雑司町406−1
0742-22-5511(代)
アクセス
JR大和路線・近鉄奈良線「奈良駅」から市内循環バス
「大仏殿春日大社前」下車徒歩5分
近鉄奈良駅から徒歩約20分
駐車場
車で行かれる方は奈良県警本部横の
「奈良登大路駐車場」がおすすめです。
営業時間:6:00~22:00
料金:¥1000/終日
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