プロダクトデザインの仕事 A3 複合機 PB-20C25

 

A3 複合機 PB-20C25

<2018年>

A3 複合機の廉価モデルを0ベースで開発する

それがこのモデルのスタートでした。

主なターゲット市場は中国。

 

中国市場では

日本・北米・欧州の主力モデルを

そのまま持って行っても価格が高く

市場ニーズと合っていません。

そこでメインモデルの下にもう1ライン

廉価モデルをラインナップしていました。

 

今まで中国向の廉価モデルは

1モデル古いものをコストダウンして

当てていたのですが、昨今は

それでも価格が合わなくなって来ており

根本的な設計の見直しが必要になって来ました。

 

必要最小限の機能に絞り

その分極力コンパクトな設計にして

まるでA4機の様にデスクサイドで使えるA3機

 

デザインも安っぽくならない様に思い切って

従来の複合機のイメージを払拭するような

シンプル&コンパクト&モダンな

新しい複合機デザインを目指す!

 

という所からこのプロジェクトはスタートし

最もコンパクトなユニットでは

タテxヨコx高さ がほぼ同じで

立方体に近いフォルムになりそうだった為

我々はこの商品開発を CUBE  Project

と命名しスタートしました。

 

CUBE Project のターゲットユーザーは

ホームオフィスやスモールオフィス・小店舗

ホテルや病院・ドラッグストアなどの

受付カウンターや事務室などに設定し

 

従来にない新しい複合機のイメージを

模索し始めました。

 

 

次期A3機につながるデザインを意識して…

このプロジェクトは単に新しいイメージの複合機を

デザインするだけではなく保守的な複合機市場…

というか、営業/ディーラーさんに対しても

インパクトのあるデザインを提案し

現行デザインから変える事の免疫を付ける

切っ掛けにもしたかったのです。

 

複合機という商品はほぼほぼマシーンです。

マシーンを薄皮の樹脂カバーで覆った様な構造の為

内部機構がモロに外観に反映され

中々フォルムをコントロールしにくい商品です。

現行のA3機も、この時点での他社機と比較しても

比較的シンプルにまとまっている方ですが

これ見よがしな大きなエンブレムや

オリジナリティの高い風紋処理でさえ

部外から突然侵入してきた私から見ると

もはや古さを感じずにはいられません。

 

従来のA3機はその大きさから

壁際に置かれるのが常ですが

今回のコンパクトA3機はA4機同様

テーブルトップやデスクサイドでの利用を

考えています。

今までのバキバキしたマシーンから

より親しみを感じる

シンプルで優しいラウンドフォルムを基調に

新しいデザインを検討しました。

 

複写機の排紙エリアは

排紙されたドキュメントが綺麗に重なる様に

また取りやすいように

操作性を基準に形が決まって行くので

デザインコントロールが難しい所でもあり

また見た目もノイジーになりがちな所です。

 

 

NEW DESIGN

本体の構成を

ホワイトとブラックのハイコントラストな構成

にすることでガチャガチャした排紙エリアを

シンプルに整理しすっきりと見せる事が出来ました。

側面の手差しトレー部も

従来は本体キャビから出っ張ってましたが

今回はフルフラットな凹凸の無いフォルムに拘り

また用紙トレイとの組み合わせにより

テーブルサイドに置いたとき

トップ面がテーブルとほぼ同じ高さにすることも

排紙エリアの凹の位置がデスクのトップ面と

合わせることが出来るのも大きな特徴です。

 

そして嬉しいことに

このようなコンセプトを理解して頂きこの  CUBE 

2019年 国内の Good Design Award  と

2020年 ドイツのiF デザインアワードの両方を

受賞することが出来ました!

 

Gマーク&iF ダブル受賞は初めてなので

本当に嬉しい限りです。

 

 

 

 

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