テオ・ヤンセン展 ”ストランドビースト” 

 

2017年に三重県立美術館で開催された

テオ・ヤンセン展についてのレポートです。

 

テオ・ヤンセン(Theo Jansen )は

オランダの彫刻家・画家・物理学者で

風力で動作する「ストランドビースト」という

アートと科学が融合した芸術作品の作家です。

 

「ストランドビースト」とはオランダ語で

「砂浜の 生命体」という意味で

一見、割りばしの様な細い角材で創られた

古代生物のようですが、実は

素材のほとんどは、ポリ塩化ビニールの

パイプを粘着テープでつなぎ合わせるという

すごく原始的な方法で創られています。

 

アニマリス ユメラス セグンダス

大型ビーストの1つ

写真の作品は、上部の背びれの様な

部分がヨットの帆のように広がり

風を受けて波の様にうねることで

シャフトを回し、空気をペットボトルに貯め

圧縮空気に変換し細いチューブを通して

下部の脚の構造体を動かし横に移動する…

というとても複雑な機構をしています。

 

 

また動力部である「脚」の部分は

動物の「脚」の動きから導き出された様な

複雑で計算された複数の関節構造からなり

その動きは本物の生物そのものです。

 

「ストランドビースト」というのは

1つのアート作品名ではなく

複数の「ストランドビースト」が存在し

テオ・ヤンセンによって

人工的に生み出しされた人口生命体の

種族名なんです。

 

 

宮崎 駿さんのアニメに出てきそうな…

または、レオナルドダビンチの

スケッチにありそうな…

そんな世界観ですね!

 

ちなみに、やはりというか

「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」

と称されてるそうです。

 

 

それでは、美術館で展示されていた作品を

ご紹介したいと思います。

 

アニマリス シアメシス

2体のビーストを組み合わせて創られた超大型ビーストで

72本の足を持ち総重量は200kgオーバー

センサーの役割を果たすウレタンチューブが砂上を這い

水を吸うとバルブが閉じて水から離れてゆく。

大きいのでエントランスに展示。

 

 

アニマリス アポディアキュラ

ストランドビーストにとって風は移動の動力源

しかし風が強すぎると自ら転倒してしまうという課題があった

この大型のビーストは強風による転倒を防ぐ為の

アウトリガーを備えそれまでの課題を解決した作品。

強風の中でも安定して動くことが出来る様になった。

 

 

アニマリス ぺルシピエーレ レクタス

このビーストは強風を、ピストンとバルブを持つ太さの違う

2本のチューブに空気が送られることで感知し

尾の部分のハンマーが砂地に杭を打ち

強風に吹き飛ばされないよう自ら固定するという作品。

展示会ではポンプを使って杭を打つデモが行われた。

 

 

アニマリス サブローサ キューティス

初期のビーストで風力で動く機能を有した。

変速装置の付いた脚部や、水を感知し

体の向きを変える仕組みなどのアイディアが試されたが

実際にはほとんど機能しなかった。

 

 

アニマリス オルディス

後ろからの風を帆で受けて前進する作品

比較的コンパクトで機動性が高い。

12本の脚を順番に繰り出しスムーズに移動する

美術館では人力で引っ張り

そのユニークで滑らかな動きを再現していた。

 

 

アニマリス リジデ プロペランス

これも比較的コンパクトで機動性のある作品

プロペラ付をつけ、これにより風向きに対し

横方向に高速で移動できる。

 

 

アニリス ブルハス プリムス

風力ではなく人力で引っ張られて動く作品で

イモムシの動きを再現し横から見ると

ボディーを波の様にくねらせて移動する。

 

 

アニマリス トゥルゼンティア ヴェーラ

2mほどの比較的コンパクトなビースト

3枚の大きな帆を使い比較的弱い風でも移動でき

また帆は大きさを調整可能で

風の強さに合わせて歩行速度を調整する。

 

 

アニマリス プロボスキス

2体1組の作品で鼻先を突き合わせた2体は

まるでコミュニケーションをとっているように

左右上下に鼻先を曲げ、ユニークな動きを見せる

その動きは本物の動物の様で微笑ましい。

 

 

会場ではアニマリス リジデ プロペランスの模型

(組み立てキット)

が販売されており、館内で組み立ても出来

工作のサポートもしていたようです。

Amazonからも購入可能です。

 

 

ジブリアニメに出てきそうな

このユニークな生命体は原始的な構造にもかかわらず

その動きは生命体そのもの。

とてもしなやかでスムーズでユニークです。

全国各地の美術館を巡回してるようなので

もし見る機会があれば是非見に行ってください。

 

アニメが現実になったような作品群は

お子さんにも喜ばれること間違いなしですし

もちろん、大人も十分に楽しめます!!

 

 

 

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